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KNOW-HOW

“分析できる”だけでは通用しない、AI時代に選ばれるデータ人材とは?

2025年10月18日、Trust株式会社 代表取締役社長/CTO の友田恭輔さん、TDSE株式会社 取締役/コンサルティング本部 本部長/AIエージェント本部 本部長の結束晃平さんをお迎えし、「AI時代に選ばれるデータ人材とは?」をテーマとしたトークセミナーが行われました。

AI活用が多領域で加速する“AI戦国時代”である今、データ人材の価値は分析スキル単体ではなく、ビジネス理解・課題設定・推進力・継続学習まで拡張しています。本記事では、2社のCTOが考える「これから求められるデータサイエンティストの必須条件」のトークセッションについてレポート形式でお届けします。

プロフィール写真(左:Trust友田さん、右:TDSE結束さん)友田 恭輔(Trust株式会社 代表取締役社長 兼 CTO)
東京大学情報理工学系研究科修了。機械学習に関する研究により研究科長賞を受賞。楽天HDにてシステム開発・データ分析に従事し、同グループの金融事業全体のデータ利活用推進を主導。ビジネス価値を継続的に出すためのデータ活用の多方面からの支援を重要視。

結束 晃平(TDSE株式会社 取締役/コンサルティング本部 本部長/AIエージェント本部 本部長)
素粒子物理学の博士号を持つ理系出身の経営者。大学院時代にスイスの大型加速器を使用した素粒子物理実験に従事し、膨大なデータ解析スキルを習得。データマイニング分野でキャリアをスタートし、データサイエンティストとして経験を積んだ後、マネジメント領域へ。現在は「データに基づいて意思決定を高度化する」を体現し、AIやデータ分析を専門とするコンサルティングサービス事業とLLMを活用を推進するAIエージェント事業を推進中。

セッション1:分析スキルはAIに“奪われる”のか

「分析スキルがAIに奪われる?」のスライドまず1つめのテーマは、「分析スキルがAIに奪われる?」。こちらについては、お二人の見解は一致していました。

  • 技術とビジネス、“どちらも中途半端”が最も厳しい
    ビジネス側(問いの設計・意思決定支援・推進)に振り切るか、実装側(データ基盤・API連携・MLOpsを含む実務遂行)に振り切るか、強みの明確化が必要。
  • 競争軸はスピード感×ビジネス価値への接続
    AutoMLの登場により分析スキルは機械化され、生成AIで加速した。したがって競争軸は「分析そのもの」から「価値へ接続するプロセス」へと移っている。

意見を述べるTrust友田さん「AutoMLが登場した時点から、分析スキルはある種“奪われていた”と思っています」(友田さん)

  • ツールの活用は大前提
    生成AIやコーディングエージェントは作業速度を飛躍的に高める。活用前提で、個人の生産性を常時ブーストできるかが分水嶺。
  • “AI民主化”の影=データサイエンティストの存在は必要不可欠
    かつてAutoMLが登場し流行した際、レビュー不在の“野良モデル”が跋扈したことで意思決定を誤らせる事態がいたるところで発生していた。現在のエージェント/ローコード活用は推奨しても、品質担保とガバナンス設計が不可欠。
  • 最終責任はやはり“人”
    状況変化を踏まえPDCAを高速に回し、アウトプットを事業に実装して初めて価値となる。

意見を述べるTDSE結束さん「民主化といってもそう単純な話ではない。データサイエンティストとしての知見に頼る部分はあると考えます」(結束さん)

セッション2:現場のユースケース~組織設計から実装・運用まで

続いて次のテーマ「現場のリアルなユースケース」へ。このセクションでは、2社の具体的なユースケースについて紹介されました。

Trustの場合:COE支援と金融ドメインの深堀り

Trustの案件紹介スライドTrustの強みはCOE(Center of Excellence)支援。全社DXを推進する中核組織に対し、運営設計(案件創出・優先度付け・配賦)・ 人材育成(データ人材/ビジネストランスレーター)・ 文化醸成(現場巻き込み)・ 基盤整備(データ/分析基盤)・ ガバナンス(データ/AI)等を包括的に伴走しています。
Trustの案件事例
金融ならではの専門領域にフォーカスした案件では、与信モデル構築、限度額最適化(売上とリスクのトレードオフ設計)、債権回収、マーケット分析、保険料最適化などを展開。リスク管理とビジネスインパクトの両立を重視する姿勢が印象的でした。

TDSEの場合:課題定義→環境構築→エージェント実装→評価→業務移管

TDSEの案件紹介TDSEでは「良い成果は良い問いから生まれる」を原則に、最初期の課題設定を重視。

その後、
・データ加工と環境構築(必要に応じてローコード/ノーコード基盤を選定)
・AIエージェントや予測AIの設計・API連携
・評価設計(定量指標の設計、改善効果の可視化)
・運用設計と業務移管
までを一気通貫で支援しています。
TDSEの案件事例
実例としては、分散ファイルの統合・表記ゆれ吸収のためのカスタムAPI実装や、過去ナレッジの検索性向上により運用保守の手戻りを削減した事例が紹介されました。

マーケティング等の短サイクル領域では、100点を目指すより“今すぐ70点”を回すほうが価値となる局面も多く、現場で回せるものと専門家投入が必要なものを切り分けて全体最適で配分する設計力が問われるとのこと。ここでも、“データサイエンティストとエンジニアリングの越境”がキーワードとなりました。

セッション3:最新トレンドとキャリア設計

最後のトークテーマは、「最新トレンドと生き残り戦略」について。2社が今後価値提供していきたい領域、トレンドとなる技術、データサイエンティストに求める要素について語り合っていただきました。
「最新トレンドと生き残り戦略」のスライド
お二人の見解をまとめたものが下記です。

・事業会社における内製化の発展により、外部パートナーに期待される価値は「自社にない知見」「新技術の高速検証」「横断的ベストプラクティスの提供」である。

・データにはバイアスがかかっていることが多く、見かけのデータ比較では意思決定したものも容易に覆ってしまう。このバイアスを正しく理解することはまだ生成AIには不可能であり、データサイエンティストの存在価値と言える。

・データサイエンティストのキャリアは二軸(エキスパート/ジェネラリスト)で設計。相対する部門(DX部門か業務部門か)や業界の成熟度に応じて、価値の出し方に合う強みを選ぶのがおすすめ。

Q&Aハイライト

Q1. エンジニアにビジネススキルを身につけさせる具体策は?

・プリセールス/要件定義の現場に同席させ、仮説を持って対話する訓練を継続してみる。
・目的からの逆算を徹底し、「なぜやるか」を自分事化させる。
・一方、分析専業のキャリアも必要なので、組織として複合型で設計する。

Q2. POCやエージェント開発に向くのは、データサイエンティスト?エンジニア?

・構築初期はエンジニア要素の比重が高い。評価設計や予測連携の段階ではデータサイエンティストの比重が増す。
・フェーズごとに役割の比重は変動するため、チームとして補完関係を組むのが現実的。

Q3. 組織づくり・人材ポートフォリオの考え方は?

・Trust
AI・データとITコンサルの二本柱。事業会社出身者も多く、DS・データエンジニア・アーキテクト・LLMエンジニア・プロダクト人材などをバランス良く配置している。

・TDSE
エキスパート型とジェネラリスト型の複線キャリアを用意。案件の性質に応じて編成している。

懇親会の様子
Q&Aコーナーの後は懇親会!皆さん、飲食も忘れて話し込む姿が印象的でした。

まとめ

生成AIとAutoMLの普及により、分析スキルの希少性は確かに低下したかもしれません。その分、「問い→検証→実装→運用」までをクイックにクオリティ高くやり切る総合力が求められるようになりました。自らの強みを尖らせつつ守備範囲を広げ、AI民主化の波を前提とした価値設計が、“選ばれるデータ人材”の要件といえるでしょう。

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著者情報

CREEK & RIVER
株式会社クリーク・アンド・リバー社 Symbiorise編集部
Symbiorise(シンビオライズ)は、AI、機械学習、データサイエンスなど最先端技術を扱う領域に特化した転職エージェントサービスです。データ・AI領域で転職を検討中の方に向けて、求人情報はもちろんインタビューやノウハウ記事などのお役立ち情報を発信しています。

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